JAMA,2025年7月1日公開記事。ドイツにおいて実施された処方可能な片頭痛アプリの無作為化臨床試験において、12週間の観察期間中、基本的な文書化機能のみを提供する対照アプリと比較して、片頭痛日数の有意な減少を示さなかったとするもの。
研究デザインは、2021年3月から12月にかけてドイツ全土で遠隔地から実施されたもので、エピソード性または慢性片頭痛を有する成人(18歳以上)を、M-sense Migräneと呼ばれる処方可能なデジタルヘルスアプリを用いた介入群(n=238)と対照群(n=239)に1:1の割合で無作為に割り付けられた。介入群は処方可能なデジタルヘルスアプリのフルバージョンを使用し、対照群は頭痛日記の機能に限定したアプリバージョンが使用された。
結果は、無作為化された477人の参加者のうち、476人がintention-to-treat集団に組み入れられた(介入、n = 238;対照、n = 238)。 参加者全体の平均(SD)年齢は35.2(10.4)歳、女性は429人(90.1%);平均(SD)片頭痛歴は17.42(10.49)年であった。 12週間後、1ヵ月あたりの片頭痛日数に群間で有意差はなかった。 1ヵ月あたりの片頭痛日数は、介入群では平均(SD)7.74(3.70)から調整平均5.79(95%CI、5.02~6.57)に減少し、対照群では平均(SD)7.76(3.69)から調整平均5.41(95%CI、4.63~6.19)に減少し、推定群間差は0.38日(95%CI、-0.32~1.08日;P = 0.29)であった。 ほとんどの副次的アウトカムでは群間差はみられなかった。 重篤な副作用は報告されなかった。
結論として、拡大するデジタル治療薬市場において、治療の有効性と患者の安全性の両方を確保する、強固な評価枠組みの基礎となる無作為化臨床試験の必要性を強調しているとする。
日本では、沢井製薬株式会社が片頭痛向け医療機器「レリビオン®」の製造販売承認を取得しているが、レリビオンは頭部に装着し、電気や磁気などの刺激で神経機能を調整する非侵襲型のニューロモデレーション機器。
ニュースソース
Daniel Pach(Charité–Universitätsmedizin Berlin, corporate member of Freie Universität Berlin and Humboldt-Universität zu Berlin, Institute of Social Medicine, Epidemiology and Health Economics, Berlin, Germany), et al. : A Prescribed Digital Health App and Number of Migraine Days- A Randomized Clinical Trial.
JAMA Network Open. July 1, 2025. doi:10.1001/jamanetworkopen.2025.17708(オープンアクセス)