【論文】比較有効性試験を免除するための科学的正当性

世界中の規制当局は、バイオシミラーの承認について、歴史的に、分析的特性評価、非臨床試験、薬物動態(pharmacokinetic:PK)評価、臨床的有効性と安全性の比較試験(clinical efficacy and safety studies:CES)といった段階的承認経路を確立してきた。結果的にバイオシミラーの開発の高コスト化をまねき、参入障壁となっている。論文では、バイオシミラーの歴史的背景と進化、分析技術の進歩とバイオシミラー開発への影響、CESによる新たなエビデンスレベルなどについて、広範な文献レビューにより検討し、CESの要件の近代化の必要性について提言している。

分析技術について、広範な技術とバイオ類似性検証の精度について文献レビューが行われ、CESでは分析試験やPK試験で見落とされたものを検出できないというエビデンスも示されている。すでに欧州では、CESなしで承認されたバイオシミラー(ノバルティスのルセンティス(ラニビズマブ)に対するサンドのバイオシミラーであるByoovizなど)も承認され、それらの事例では分析的特性評価やPK試験がどのように評価されたかを具体的に紹介している。一方、CESが必要とされるケースとして以下が例示されている。

  • 作用機序が未知であったり、十分に解明されていない生物学的製剤
  • 本質的な不均一性が高い製品、または構造的な特性評価が不十分な製品
  • 薬物動態試験が適切でない場合
  • 臨床的に関連する安全性または免疫原性に懸念があることが知られている製品

以上の議論をもとに、FDAに対して、欧州にあわせた規制上の移行を提案している。

 

ニュースソース

Sarfaraz K Niazi(College of Pharmacy, University of Illinois, Chicago, IL):Scientific Justification and Policy Recommendations to the US Food and Drug Administration for Waiving Comparative Efficacy Studies.
Pharmaceuticals (Basel). 2025 May 23;18(6):779. doi: 10.3390/ph18060779.
PMID: 40573176  DOI: 10.3390/ph18060779 (オープンアクセス)

2025年7月1日
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