広範な文献検索をもとに、バイオシミラー製剤化戦略を広範な視点から概説した論文。全60ページにわたり、論文というより、いわば、バイオシミラー製剤戦略の教科書。
バイオシミラーの開発プロセスは、組換えタンパク質固有のばらつきに対処し、先発品との違いが臨床的に重要でないことを保証しなければならないため、非常に複雑である。バイオシミラーの開発と生産における基本的な要素には、免疫原性リスクを予測し、生物学的同等性を最適化するために、高度なプロセス設計、制御、分析特性評価技術(Quality-by-Design(QbD)、Process-Analytical-Technology(PAT)、in silicoモデリング)を統合することが含まれる。
一方、バイオシミラーの製剤には、安定剤や賦形剤などの重要な成分があり、これらは最高の品質基準を満たす必要がある。 これらの安定剤や賦形剤は、新薬の保存期間、投与方法、患者の治療における有効性、免疫原性の可能性も含め、バイオシミラーの生物薬剤学的プロフィールに大きな影響を与える可能性がある。賦形剤の変更、バッファーフリーシステムの採用、タンパク質濃度の増加など、バイオシミラーにおける製剤革新は、現在の規制ガイドラインでは認められているが、比較可能性要件の範囲内のみでなければならない。
論文は、特に無緩衝系、高濃度製剤、デジタル設計ツールがもたらす課題を考慮しながら、科学的、規制に準拠したバイオシミラー製剤戦略立案のための視点を提供することを目的としたものとしている。以下は、主な項目。
- バイオシミラーの設計、製造、分析特性評価
- バイオシミラーの分析的特性評価と処理戦略(特に翻訳後修飾)
- バイオシミラーの製造における様々な戦略と加工の進歩
- バイオシミラー開発プロセスへのAIと機械学習の統合
- バイオプロセス分野の革新(バイオリアクターや精製工程)
- モノクローナル抗体と組換え蛋白質に基づくバイオシミラー製剤
- バイオシミラー製剤技術(バッファーフリー戦略)と賦形剤の進歩
- 賦形剤の処方と選択
- 緩衝液を含まない高濃度製剤と免疫原性緩和における賦形剤の役割
- 変化の傾向: 無緩衝製剤
- 承認されたバイオシミラー製剤の分類と安全性プロファイル
- 安定性、バイオアベイラビリティ、免疫原性に関する製剤の傾向と考察
- バイオシミラーの開発におけるFDAとEMAの規制枠組みの重要性
- バイオシミラー製剤の開発に伴う知的財産の課題
ニュースソース
Tomas Gabriel Bas(Escuela de Ciencias Empresariales, Universidad Catolica del Norte, Coquimbo, Chile.): Innovative Formulation Strategies for Biosimilars: Trends Focused on Buffer-Free Systems, Safety, Regulatory Alignment, and Intellectual Property Challenges.
Pharmaceuticals (Basel). 2025 Jun 17;18(6):908. doi: 10.3390/ph18060908.
PMCID: PMC12196224 DOI: 10.3390/ph18060908 (オープンアクセス)