英国NICEは、エーザイとリリーのアルツハイマー治療薬の非推奨を再確認

英国の国立医療技術評価機構(National Institute for Health and Care Excellence)は、2025年6月19日、バイオジェンとエーザイのLeqembiとイーライリリーのKisunlaのベネフィットは、NHSへの追加コストを正当化するには小さすぎることが判明したと発表した。

ホームページで「最終ガイダンス案における委員会の結論は、両薬剤ともアルツハイマー病による軽度認知障害または軽度認知症の治療には推奨できず、これらの医薬品はNHSで提供されるべきでない」としている。

提出されたすべてのエビデンスに基づくと、投与コストを含む高コストに対する十分なベネフィットがまだ示されていない。 この治療法は、軽度から中等度のアルツハイマー病の進行を4〜6ヶ月遅らせることが示されているが、薬剤の購入と投与にかかる総費用は依然として高く、ベネフィットは小さく、長期的な有効性のエビデンスがないこと、また、NHSがこの治療にかなりのリソースを投入する必要があることから、もし承認されれば、患者に大きなベネフィットをもたらす他の必要不可欠な治療やサービスの利用を制限されることになると結論付けている。(例えば、Leqembi投与にかかる輸液、モニタリング、診断などの関連費用は年間19,000ポンド(約375万円)以上であるとされる2)。)

他の報道によると、リリーとエーザイは声明で、決定を不服として控訴する予定であると述べたとされる。

(坂巻コメント:レケンビの日本での売り上げ予測額は2025年度に765億円とされている。日本でも、認知症対策に投じられる金額とのバランスも考慮し、財政インパクトとしても受け入れられるのかどうか、慎重な検討は必要であろう。)

 

ニュースソース

  1. National Institute for Health and Care Excellence:Final draft guidance finds benefits of 2 Alzheimer’s treatments remain too small to justify the additional cost to the NHS.
    https://www.nice.org.uk/news/articles/the-benefits-of-alzheimers-treatments-donanemab-and-lecanemab-remain-too-small-to-justify-the-additional-costs-says-nice-in-final-draft-guidance
  2. STAT:K. decision blocks a pair of Alzheimer’s drugs from access through its national health service.( By Andrew Joseph, June 18, 2025)
    https://www.statnews.com/2025/06/18/uk-alzheimers-nice-leqembi-kisunla-lilly-eisai-biogen/?utm_campaign=the_readout&utm_medium=email&_hsenc=p2ANqtz-8tC7JU9wXCS1WkRoPz1KqFbR7-H7yzX81eyZbTavf89HTO2T27minWEbx1H67MN7p5t1znM9gxU6o4p5GosbjRmR_USr6B5v8usAwMDHz1q63gPis&_hsmi=367719345&utm_content=367719345&utm_source=hs_email
2025年6月21日
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