2025年4月25日のMedCity Newsによると、Caribou Biosciencesは2025年前半に予定していたがん細胞治療2件の主要な臨床データ発表と自己免疫疾患に対する臨床試験開始を見直し、自己免疫疾患プログラムを中止し、人員の約32%を削減すると発表した。
同社は、ノーベル賞受賞者Jennifer Doudna氏が共同創業した企業であり、健常ドナー由来T細胞をCRISPR技術で改変して開発するオフ・ザ・シェルフ型CAR-T細胞療法に取り組んでいる。現在、主力プログラムは、B細胞性非ホジキンリンパ腫向けのCB-010(CD19標的)と、多発性骨髄腫向けのCB-011(BCMA標的)の2件であり、いずれも第1相試験中である。これらのプログラムのデータ発表は2025年後半に延期され、より長期間フォローアップされた患者データの蓄積が見込まれている。
CB-010は単回投与で承認済み自家CAR-T療法に匹敵する安全性、有効性、持続性を示す可能性があり、さらにCD19標的治療後に再発した患者を対象とする証明的コホートのデータも予定されている。
一方で、CB-010による全身性エリテマトーデス治療に向けた試験開始は中止され、急性骨髄性白血病を対象とするCB-012の第1相試験も追加データ収集に時間と資源を要するため中止された。ただし、CB-012で治療を受けた患者については長期追跡を継続する。さらに前臨床研究も終了した。
なお、今回の再編は過去1年で2度目であり、2024年7月にもナチュラルキラー細胞を用いた前臨床プログラムの中止により、資金の延命とCAR-T療法への集中が図られていた。株価は2021年の新規上場時(1株17ドル)に比べ、大きく下落し、2025年4月時点で87セントとなっている。
(坂巻コメント:遺伝子編集技術も苦戦)
ニュースソース
MedCity News:CRISPR Biotech Caribou Trims Pipeline and Cuts 32% of Staff to Focus on Two Cancer Cell Therapies(By Frank Vinluan on April 25, 2025)