Festival of Biologics USAラウンドアップ:バイオシミラー・アクセスの障壁

American Journal of Managed Care® (AJMC®)は、2025年4月30日の記事で、4月23~24日に米国サンディエゴで開催された「Festival of Biologics USA2005」におけるバイオシミラー政策ラウンドアップの内容を紹介している。以下、記事の要旨。

ラウンドアップでは、バイオシミラーの普及に対する障壁と政策対応について、専門家や政策立案者により活発な議論が行われた。

  • 米国における政策動向と大統領令

最近の議会公聴会では、医療費削減策としてバイオシミラーの役割が強調され、2015年以降で236億ドルの削減効果があったことが報告された。しかし、実際の普及には以下のような課題が存在すると指摘され、これを受け、承認手続きの簡素化、教育の拡充、政策と開発タイムラインの整合性確保などが提言された;

  • 薬剤給付管理(PBM)による制限的な契約
  • 不十分な償還制度
  • 医療従事者や患者の認知不足
  • 抗競争的な契約慣行

また、ドナルド・トランプ前大統領は、バイオシミラーのアクセス拡大を強調する大統領令を発出し、13項目の施策を提示し、これに対し、Biosimilars Forumは科学的かつ効率的なバイオシミラー開発を後押しする重要な一歩と評価した;

  • メディケアにおける価格交渉の改善
  • FDAの承認迅速化
  • サプライチェーンの透明性向上
  • 抗競争的行為の抑制
  • 州法とバイオシミラー使用の関係

最新の研究によれば、インスリングラルギン(Semglee)のようなinterchangeable製品の使用は、州ごとの代替処方に関する規制の影響を強く受ける。医師や患者への通知義務がある州では、使用率が有意に低下していた。これは、FDAによる承認とは無関係に、州法が市場浸透の障壁となっていることを示唆している。

  • Festival of Biologics USAでの専門家の見解
  • バイオシミラー市場が成熟しながらも、眼科分野などでは高い採用率にもかかわらず認知が低いこと、オンコロジーでは償還と流通の問題が依然として障壁であること
  • アダリムマブなどの製品は期待された市場シェアを獲得しておらず、interchangeabilityや政策の明確化が今後の課題
  • 今後10年間に118のバイオ医薬品が特許切れとなることで2,340億ドルの機会が生まれる可能性があるものの、高い研究開発費、規制の複雑さ、特殊薬局での償還構造が妨げとなっており、法改正やフォーミュラリーの革新、未開拓領域への進出が必要
  • バイオシミラー市場に存在する「空白(void)」は、政策的介入と利害関係者の協調により解消可能であり、特許の乱用や開発インセンティブの不整合、旧態依然とした規制制度など、制度的課題への抜本的改革が必要

(Festival of Biologicsは、毎年、春に米国サンディエゴ、秋にスイス・バーゼルで開催される、バイオ医薬品、バイオシミラー、免疫治療に係る一部の再生医療の製造、研究開発、臨床試験、薬事規制、マーケットアクセスに関して議論、情報交換する世界的なイベント。講演会、セミナーや、企業展示が行われる。主催はTerrapin。)

 

ニュースソース

Center for Biosimilars, American Journal of Managed Care: Biosimilars Policy Roundup: April 2025 (April 30, 2025).
https://www.centerforbiosimilars.com/view/biosimilars-policy-roundup-april-2025

 

2025年5月2日
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