Science誌スポンサー記事:次世代ADCによるがん治療のパラダイムシフト

Science誌2025年4月11日、ファイザーによるスポンサー記事。ファイザーンコロジー早期開発責任者Megan O’Mearaへのインタビュー。以下は記事の要約。

ファイザーは20年以上前、初の抗体薬物複合体(ADC)を白血病患者向けに市場投入し、以降もADC技術の進展において主導的な役割を担ってきた。2023年には、ADC技術における先駆者であるSeagen社を買収し、米国食品医薬品局(FDA)に承認されたADCの約半数を保有するまでにポートフォリオを拡大した。

 

抗体薬物複合体(antibody-drug conjugate :ADC)は、抗体による標的指向性と化学療法の強力な細胞傷害効果を組み合わせたがん治療の有望な手法である。ファイザーは、vedotinプラットフォームを用いて、がん細胞へ極めて強力な化学療法薬monomethyl auristatin E (MMAE)を送達するADCを開発しており、より高精度なドラッグリンカーシステム、薬剤安定性の向上、抗原の最適化を進めている。また、oisomerase阻害薬など新規ペイロードを組み込んだ次世代ADCの開発に加え、免疫刺激性ペイロードやタンパク質分解誘導薬などを活用した多様な治療機序の探求にも注力している。

vedotinプラットフォームの強みは、MMAEが微小管を破壊することでがん細胞の分裂を阻止し、細胞死を誘導する点にある。また、MMAEは周囲のがん細胞にも拡散し、免疫原性細胞死(immunogenic cell death :ICD)を引き起こすことで、免疫系を活性化させる。ICDは免疫チェックポイント阻害剤との併用で相乗効果が期待される。

ファイザーは、免疫活性化抗体複合体( immune-stimulating antibody conjugates :ISAC)という新たな形態のADCにも取り組んでおり、これは免疫細胞を腫瘍微小環境に誘導・活性化し、T細胞浸潤を促進するものである。この技術により、ADCは単なる細胞毒性薬から、持続的な抗腫瘍免疫応答を引き出す治療戦略へと進化しつつある。

今後5~10年においてADC技術は飛躍的に進化し、作用機序の多様化や薬剤耐性克服、免疫系の調節機能の導入が進む見通しである。ファイザーは薬物動態、腫瘍浸透性、免疫効果に関する専門知識を活かし、革新的なADCを患者に届ける役割を果たしていく方針である。

 

ニュースソース

Science, Sponsored Feature: Next-generation ADCs are poised to transform the cancer treatment paradigm.
https://www.science.org/content/article/next-generation-adcs-are-poised-transform-cancer-treatment-paradigm?utm_medium=email&utm_source=publishing-sfmc&utm_campaign=pfizer_naesa&utm_content=custompubs2025&utm_id=rec7lY79puyVu7jw9&et_rid=79567821&et_cid=5601664

2025年4月30日
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