【論文】テーラード・バイオシミラー・アプローチ

欧州におけるバイオシミラー開発における臨床試験必須の現状を見直すための議論。この論文では、一律の臨床有効性試験(clinical efficacy studies:CES)を義務付ける従来の規制アプローチから脱却し、個別に最適化された(=テーラーメードな)開発戦略が必要であると主張している。その理由は以下のとおりである:

  1. 科学的進歩によりCESの必要性が低下
  • 現代の分析技術は、物理化学的・機能的特性を極めて高感度に評価可能となっており、CESでしか得られない重要な情報は非常に限られている。
  • CESは費用がかかる上に非効率であり、しばしば有効性の差異を検出できない。
  1. CESの倫理的・資源的課題
  • 不必要な臨床試験の実施は、倫理的にも問題がある(患者の負担、リソースの無駄)。
  • 一部のCESは、むしろ解析のばらつきや偶然の結果により誤解を生じさせることもある。
  1. すでに規制当局も一部で認めている
  • EMAやFDAなどの規制当局はすでに一部のバイオシミラーでCESの免除を認める方針を採用しており、その成果が蓄積されている。
  1. 製品特性に応じた柔軟性の必要性
  • 製品の種類(抗体、融合タンパク質など)、作用機序、使用適応に応じて、必要なデータの種類や範囲を個別に設定すべきである。
  1. 患者アクセスと迅速な承認の両立
  • テーラーメードなアプローチにより、科学的妥当性を維持しつつ承認プロセスを効率化し、患者の早期アクセスを促進することが可能となる。

 

ニュースソース

Elena Guillen(Department of Clinical Pharmacology, Hospital Clínic, Barcelona, Spain), et al.: The Tailored Biosimilar Approach: Expectations and Requirements.
Drugs. 2025 Apr 1. doi: 10.1007/s40265-025-02168-y. Online ahead of print.

論文全文を閲覧可:https://link.springer.com/article/10.1007/s40265-025-02168-y

 

2025年4月8日
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