英国国立保健医療研究所(National Institute for Health and Clinical Excellence:NICE)の独立評価委員会は、2025年1月28日、イングランドの国民保健サービス(National Health Service:NHS)における遺伝子編集療法exagamglogene autotemcel(エクサセルexa-cel;キャスジェビーとも呼ばれ、Vertex社製)の使用を承認した1)。12歳以上の特定の重症鎌状赤血球(severe sickle cell disease:SCD)症患者を対象としたマネージド・アクセス・スキームmanaged access schemeが導入される。
エクサセルは、患者の幹細胞を採取し、この幹細胞を研究室で編集し、病気にならない赤血球を作り、編集された細胞は再び患者に注入されることで治療が行われる。自分自身の編集された細胞を受け取ることになるため、身体が拒絶反応を起こすリスクはないとされる。
NICEの独立委員会は、エクサセルが健康格差(SCDはアフリカ系、カリブ系、中東系、南アジア系の家系に多い)に与える潜在的影響を考慮し、エビデンスの不確実性を許容し、NICEが通常考えるNHSの費用対効果よりも高い費用対効果推定値を設定したとする。
マネージド・アクセス・スキームとは、臨床効果や費用対効果が不確実な医療技術について、NHSイングランドと企業との契約に基づき(「マネージドアクセス契約managed access agreement」という)NHSが資金提供する治療を受けられる条件、データ収集方法を定める。これによって患者は、低負担によって、当該治療を受けることができる2)。
ニュースソース
- National Institute for Health and Clinical Excellence:Groundbreaking one-off gene therapy approved for severe sickle cell disease.
https://www.nice.org.uk/news/articles/nice-approves-groundbreaking-one-off-gene-therapy-for-severe-sickle-cell-disease
National Institute for Health and Clinical Excellence:Managed access.
https://www.nice.org.uk/about/what-we-do/our-programmes/managed-access