JAMA、2025年1月30日の記事。経口フェニレフリン(phenylephrine)の有効性の問題、OTC化された製品の扱いに焦点を当てている。フェニレフリンは、アドレナリン作動薬で日本では、鼻炎用内服薬や点鼻薬、痔疾患用の外用薬のOTC医薬品として販売されている。
(論文要旨)
米国Food and Drug Administration(FDA)は、医薬品の安全性と有効性を保証する責任を負う。しかし、長年承認されてきた薬が無効であることが判明した場合、安全性が確認されていても市場に残すべきかという問題が生じる。経口フェニレフリンは、多くの市販薬に含まれる血管収縮薬だが、その有効性について疑問が呈されている。
FDAは、14件の過去の研究、2件の最近の環境暴露ユニット研究、および3件の臨床有効性試験の結果から、経口フェニレフリンに有効性がないと判断した。これらの研究には、方法論的および統計的な問題も多く指摘されている。
フェニレフリンを含む製品の市場は数十億ドル規模であり、FDAの決定は市場に大きな影響を与える可能性がある。FDAは、代替となる有効なOTC製品の情報を消費者に提供し、今回の決定が安全性上の問題によるものではないことを明確に伝える必要がある。
今回の経口フェニレフリン問題は、規制当局にとっていくつかの課題を提起している。
- 有効性の再評価の優先順位: 規制当局は、どの製品の有効性を再評価すべきか、どのような基準で判断すべきか明確にする必要がある。
- 証拠の評価方法: 有効性を示す証拠をどのように評価するか、標準化されたアプローチを採用する必要がある。
- 消費者への情報提供: 消費者に対し、今回の決定の根拠や代替製品に関する情報を分かりやすく伝える必要がある。
FDAは、今回の問題を教訓に、医薬品の有効性評価に関するプロセスを見直し、より厳格な基準を設けることが求められる。また、市場に出回っている他の医薬品についても、有効性の再評価を進める必要がある。
経口フェニレフリン問題は、医薬品の有効性評価の重要性、規制当局の課題、そして消費者への適切な情報提供の必要性を浮き彫りにした。FDAは、今回の教訓を活かし、より科学的根拠に基づいた意思決定を行うことが期待される。
ニュースソース
Sarah Tanveer(Meta-Research Innovation Center at Stanford (METRICS), Stanford University), et al.: Removing Ineffective Drugs From the Market – Implications for Oral Phenylephrine and Beyond.
JAMA. Published online January 30, 2025. doi:10.1001/jama.2024.28197