Regulatory Focus誌2025年1月31日オンライン掲載の論文。製薬業界における販促物の審査プロセスにおけるメディカル・アフェアーズの役割と課題について調査した結果をまとめた研究。
調査の背景:製薬業界では、販促物の医学的・科学的正確性を確保するため、厳格な審査プロセスが重要である。メディカルレビュー担当者は、データ品質の確認だけでなく、規制の観点からもデータを評価し、潜在的な誤解を招く表現を防ぐ責任がある。また、販促資料作成の初期段階から治療領域に関する専門知識を提供し、組織の連携を促進する役割も担っている。しかし、現状におけるメディカル・アフェアーズの役割や課題に関する情報は限られている。
調査方法:米国の製薬・医療機器企業556社を対象に、オンラインアンケート調査を実施した(回答率7.6%)。アンケートでは、メディカル・アフェアーズの責任、時間配分、トレーニング、人員配置などに焦点を当てた。
調査結果:プロモーションレビューの責任者はメディカル・ディレクターが最も多く、次いでメディカル・インフォメーションチームであった。医療プロモーションレビュー専任の役割を担っている回答者は15%であった。専任ではないメディカル・アフェアーズスタッフの約3分の1が、週の25%以上を資料レビューに費やしていた。交渉やコミュニケーションに関するトレーニング機会は限られており、42%の企業が関連研修を提供していなかった。製品上市時、69%の回答者が既存のリソースを流用してプロモーションレビューの増加に対応していると回答した。
考察:メディカル・ディレクターは専門知識を持つためレビューを任されることが多いが、他の業務との兼務はリソース不足につながる可能性がある。メディカル・インフォメーション部門にレビューを任せる場合も、既存のリソースの流用は他の業務への影響が懸念される。どちらの部門が担当するにしても、担当者の資格と経験が適切か評価することが重要である。トレーニングの必要性、特にコミュニケーションスキルに関するトレーニングの必要性が示唆された。製品上市時のリソース不足は、十分なサービス提供を妨げる可能性がある。
提言:企業は、人員配置に思慮深く投資し、派遣契約やアウトソーシングなどの柔軟なモデルを検討すべき。医療プロモーションレビューの一元化は、一貫性、協力体制、費用対効果を高める可能性がある。医薬品プロモーション審査の複雑な状況を乗り切るには、戦略的かつ柔軟なアプローチが重要である。
結論:メディカルディレクターの役割の重要性、トレーニングの必要性、リソース配分の課題などが示された。製品上市を成功させるためには、戦略的かつ柔軟なアプローチが不可欠である。
ニュースソース
Gottlieb J, Overton J. Medical promotional review: Current trends, challenges, and strategies for success.
Regulatory Focus. Published online 31 January 2024.
https://www.raps.org/News-and-Articles/News-Articles/2024/1/Medical-promotional-review-Current-trends,-challen