2025年1月6日公開、JAMA network記事。著者らは、世界各国のInternational Committee of Medical Journal Editors (ICMJE)の編集者およびメンバー15名(韓国やチュニジアも含まれるが、日本はなし)。反ワクチンをはじめ、反科学的言説のもとはハゲタカジャーナルに掲載された論文であることが多い(坂巻コメント)。
ハゲタカジャーナルPredatory Journalsが採用している慣行には、積極的な原稿投稿の勧誘、極めて迅速な納期の約束、論文の投稿、処理、さらには撤回料に関する透明性の欠如などがある。査読、コンテンツのアーカイブ、利益相反管理、訂正可能性、著者からの問い合わせへのタイムリーな対応といった機能は行っていないか、捏造していることもある。こうした欺瞞的行為は、著者、学術機関、正規の学術誌、正規の出版社、学術出版プロセス、科学、そして一般市民を危険にさらすものである。
- 著者にできることは?:ハゲタカジャーナルの包括的で正確なリストはない。著者はハゲタカジャーナルが存在することを認識し、出版を希望するジャーナルの誠実さを評価することで、そのようなジャーナルへの投稿を避けるべきである。The ThinkCheckSubmitのサイトには、ハゲタカ出版に関するビデオが掲載されている。また、2017年、米国国立衛生研究所は、ハゲタカジャーナルを見分けるガイダンスを発表している。(詳細情報はオリジナル論文参照のこと)。
- 研究機関や資金提供者にできることは?:所属機関の研究者がハゲタカジャーナルを避けることを支援すべきである。研修や、上記リソースを利用できるようにすることができる。学術誌の正当性についての懸念に気づいた図書館員は、その情報を、他の機関の図書館員だけでなく、その構成員とも共有すべきである。また、ハゲタカジャーナルに対し、警告を発するべきである。
- ジャーナル編集者と出版社は何ができるか?:ジャーナルの存在や、上述のリソースについて、著者に注意を喚起すべきである。自社を模倣する略奪的な存在に気づいた場合、自社のウェブサイトにメッセージを掲載したり、著者、査読者、編集委員に電子メールを送信したりして、著者コミュニティに警告を発することを検討すべきである。 編集者は、著者がハゲタカジャーナルの論文を引用する可能性があることを認識し、引用の正当性に懸念がある場合には著者に警告を発するべきである。
ニュースソース
Christine Laine(Editor in Chief, Annals of Internal Medicine), et al.: What Can We Do to Protect Their Prey?
JAMA. Published online January 6, 2025. doi:10.1001/jama.2024.27514
(全文を閲覧可)https://jamanetwork.com/journals/jama/articlepdf/2828957/jama_laine_2025_ed_240102_1735587439.00372.pdf
2025年1月13日