JAMA、2025年1月6日公開の論文。新薬開発にかかるコストの推定、企業毎の研究開発(R&D)コスト差異について検討した研究。横断データを用いて2014年から2019年の患者月あたりのコストを推定。1患者月あたりのコストは、資産または時価総額で最上位にランクされた米国の上場医薬品開発企業268社、1311件の企業年オブザベーションに寄与するデータを用いて算出。薬剤ごとのコストは、2019年に米国食品医薬品局(FDA)によって承認された38の新薬のコホートについて、承認までのすべてのR&D活動から算出した。 2022年1月から2024年7月までのデータを分析した。
評価対象となった268社の開発企業のうち、20社の大手企業が全患者月数の80.8%を占めており、他の企業と比較して患者月当たりの平均コストが27.4%、中央値が26.7%低かった。患者月数1%の増加は、研究開発費の0.9%の増加と関連していた。新薬1種類あたりの研究開発費は、資本コストと中止された製品を調整した後の平均(SD)13.1億ドル(19.2億ドル)よりも、中央値(IQR)7.08億ドル(2.47億ドル~14.2億ドル)の方がはるかに偏っていた。これらの調整を行わない場合、新薬1品目あたりの直接費用は中央値(四分位範囲)で1億5,000万ドル(6,760万~4億5,300万ドル)、平均(標準偏差)で3億6,900万ドル(6,840万ドル)であった。感度分析では推定研究開発費にばらつきが見られたが、平均費用は常に中央値を大幅に上回っていた。
本研究では、含まれる費用の範囲が広いにもかかわらず、薬剤ごとの中央値の研究開発費は過去の研究から得られた範囲の下限に近く、平均値は既存の範囲の中央に近いことが分かった。これらの知見は、適応症をまたいだ並行開発、中止された製品に対する調整、および少数の高額な開発プログラムが特に研究開発費の主な要因であることを示唆している。
ニュースソース
Andrew Mulcahy(RAND, Arlington, Virginia), et al.: Use of Clinical Trial Characteristics to Estimate Costs of New Drug Development.
JAMA Netw Open. 2025;8(1):e2453275. doi:10.1001/jamanetworkopen.2024.53275