近年、セマグルチドやリラグルチドなどのGLP-1受容体作動薬に代表されるように、ペプチド治療薬の市場参入が劇的に拡大していることを受け、米国食品医薬品局(US Food and Drug Administration:FDA)の医薬品評価研究センター(Center for Drug Evaluation and Research:CDER)は2021年、ジェネリック医薬品メーカーが簡略新薬承認申請(Abbreviated New Drug Application:ANDA)の義務を果たす上で、革新的製薬企業が製造するペプチド医薬品との「同一性」を立証するための最終ガイダンスを発表した。
その後、FDAの科学者による研究とベストプラクティスに関する報告書が発表され、核磁気共鳴法(NMR)と主成分分析法(PCA)の使用が公布され、申請者のペプチド医薬品の高次構造の「同一性」を判断する定量的基準が確立された。 重要な要件は、医薬品サンプルを直接かつ非侵襲的に分析することであり、この条件は、実際には、(NMR分析に必要な)シグナルロックとスペクトルデータのアライメントを可能にするために、少量の重水素酸化物を添加することにサンプルの修正が制限される。 この研究では、1)試料のpHの比較的小さな違いが、特定のプロトン共鳴の著しいシフトを引き起こす可能性があること、2)そのような共鳴シフトは容易に可逆的であり、(高次構造の違いを反映するのではなく)特定のアミノ酸残基のプロトン化の程度に起因すること、3)試料のコホート間のpH変動のわずかな違いが、機関によって設定された定量的ベンチマークを満たさない原因となることが多いことを示すデータが示されている。 また、ペプチド医薬品の高次構造の「同一性」を評価する際に、サンプルのpHの微調整を許容することを推奨する。
ニュースソース
Jessica A Rogers-Crovak(Novatia, LLC, 54 Walker Ln, Newtown, Pennsylvania), et al.: Recommendation for Clarifying FDA Policy in Evaluating “Sameness” of Higher Order Structure for Generic Peptide Therapeutics.
AAPS J. 2024 Nov 26;27(1):8. DOI: 10.1208/s12248-024-00994-8
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