Nature、2024年6月19日の記事。グルカゴン様ペプチド1(GLP-1)作動薬のバイオシミラー開発動向。
2014年最初のGLP-1作動薬 Liraglutide(商品名Saxenda、ノボ・ノルディスク)がFDAにより承認された。これは、1日1回の注射で、1年後に平均8%の体重減少を引き起こすことができる。次世代のGLP-1作動薬はより少ない注射回数で、より大きな体重減少をもたらすことができる。FDAは、2021年にSemaglutide(商品名Wegovy 、ノボ・ノルディスク)、2023年にはTirzepatide(Zepbound、イーライ・リリー)を承認した。セマグルチドとティルゼパチドは週1回の注射で、平均12%から18%の体重減少をもたらす。
しかし、この薬は高価で、セマグルチドやティルゼパチドの注射を1ヵ月分打つと、1,000米ドル以上かかる。各社は、GLP-1製剤のバイオシミラー製剤の発売準備を進めている。 中国ではリラグルチドの特許がすでに切れており、インドと中国ではセマグルチドの特許が2026年に切れる。また、企業は医薬品の合成方法、バイアルの充填方法、注射器具の製造方法においても技術革新を進めているとされる。
インドの Glenmark Pharmaceuticalsが2024年1月に発売したリラグルチドバイオシミラー Lirafitは、1日約100ルピー(1.20米ドル)で、既存の治療薬より70%安価である。またインドのBiocon 社もリラグルチドのバイオシミラーの承認を取得している一方、セマグルチドバイオシミラーも2026年に上市予定とされる。また、中国でもリラグルチドバイオシミラーが2品目承認されている。さらに半ダースの企業がセマグルチド注射剤の後期臨床試験を開始している。
バイオシミラー以外にも既存薬を「改良した」バイオ医薬品の開発が進められている。インドの Sun Pharmaceuticalsは開発コードGL0034とという分子を開発した。この分子は、セマグルチドとは異なる化学的な微調整を加え、インスリン分泌細胞や神経細胞との相互作用の仕方を変えているとされる。同社は、ティルゼパチドと競合するデュアル・ターゲット薬の開発の初期段階にある。また、 中国のInnovent社は、イーライ・リリー社と提携し、GLP-1とグルコース産生を刺激するグルカゴンホルモンの両方を模倣するMazdutideという分子を開発している。
ニュースソース
Smriti Mallapaty:Cheaper versions of blockbuster obesity drugs are being created in India and ChinaNature 630, 797-798 (2024)