【論文】米国における政府の介入権による薬価引き下げ

Health Affairs Forefront2024年11月21日の記事。

2023年12月、国立標準技術研究所(National Institute of Standards and Technology)は、NIHに関連する特許を持つ医薬品の過度な価格設定に対処するためのガイダンスを提案した。ガイダンスでは、バイ・ドール法に基づいて政府の資金援助を受けて研究開発された特許技術に対して介入権(March-in rights)を行使する可能性を示唆している。

バイ・ドール法は、連邦政府が資金提供した発明の商業化と一般利用を促進するもので、1980年に可決されている。しかし、この法律には、介入権という形の裏付けも含まれていた。 この規定は、連邦政府機関が、連邦政府が資金提供した発明の所有者に対し、特許権者がその発明を合理的な条件で一般に提供することを怠ったために必要な場合や、特許権者では合理的に満たされない健康や安全のニーズを緩和するために必要な場合など、一定の条件下でその発明の使用許可を第三者に与えるよう要求することを認めるものである。介入権を行使するには、長期の正式な手続きが必要であり、正式な手続きに関連する不服申し立てが尽くされるには、法的手続きの一般的な期間を考慮すると、おそらく2〜3年かかるとされる。バイデン政権は、上述のガイダンスにおいて、介入権を行使する際の要素として価格を考慮することを示している。

論文では、介入権によるライセンス競争を模索し、患者の価格を下げることが可能な処方薬が複数あることを示している。 例えば、エンザルタミド(Xtandi)、アパルタミド(Erleada)、タファミジス(VyndaqelおよびVyndamax)は、すでに数十億の収益を得ており、米国居住者にとっては他の同等市場よりも高い価格設定であり、医療保険の制限により入手が制限されており、ジェネリック参入に対する非特許障壁がほとんどなく、代替品の製造を目指す複数のメーカーが存在し、その一部はすでにFDAの暫定承認を得ているとしている。

 

ニュースソース

Jishian Ravinthiran Aaron S. Kesselheim Steve Knievel:How Agencies Should Decide Which Costly Drugs To Target With Government March-In Rights.
Health Affairs Forefront.(November 21, 2024) 10.1377/forefront.20241120.89850
https://www.healthaffairs.org/content/forefront/agencies-should-decide-which-costly-drugs-target-government-march-rights?utm_campaign=forefro%E2%80%A6

2024年11月23日
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