米国(FDA)、欧州(EMA)、英国(医薬品医療製品規制庁MHRA)それぞれのバイオシミラーに関する規制ガイドラインは、進化と調和が進められている。しかし、バイオ類似性を確立するための最も重要な試験である分析評価は、依然として古臭く、新たな評価が必要である。論文では、米国での規制ガイドライン公表と見直しの経緯を概説するとともに、EMAガイドラインとも比較を行っている。さらに、薬局方において分析等の詳細な規定であるモノグラフについても、米国薬局方(USP)、英国薬局方(BP)、欧州薬局方(EP)、日本薬局方(JP)、国際薬局方(IP)などと比較し、米国薬局方における生物学的製剤のモノグラフの扱いについても概説している。
USPには、生物学的製剤のモノグラフがいくつか含まれているが、FDAが2018年5月にUSPに書簡を送り、生物学的製剤のモノグラフの作成を控えるよう指示した。その背景は、モノグラフがバイオシミラーやその他の生物学的製剤の認可を妨げたり遅らせたりする可能性があるという懸念に基づいている。そのため、2024年版米国薬局方(USP 2024)では、モノグラフの追加や組換え製剤の追加は止まっている。
臨床的有効性試験に次いで、バイオシミラーの参照製品との比較分析評価は、最も高いコストと時間を必要とする項目である。薬局方において、基準製剤の分析試験と検証された試験法に基づいて、モノグラフとして表示されない生物学的製剤規格(Biological Product Specifications :BPS)を作成することは、バイオシミラーの基準製剤とのサイドバイサイドの分析試験を不要とするものである。この計画が論理的であり、他のバイオシミラーとの互換性を可能にするバイオシミラーの世界的な品質基準を作り上げることが可能であることは、科学的論拠からも確認されている。 規制当局の多くは、高コストのバイオシミラー検査を免除しているが、分析評価は最も感度の高い検査であり、そのコストを削減することは、臨床的に意味のある差のないバイオシミラーの参入をさらに促進することになる、等としている。
論文では、さらに、BPSにどのような項目を含めるべきか、BPS策定の利点を説明し、USPが世界的なバイオシミラーBPSの標準となるように研究を進めるべきとしている。
(NIHやFDAがUSPに資金提供するとともに、バイオシミラーを支援する団体や開発者を含む利害関係者は、これらのプロジェクトに資金を提供すべきである。とも結論付けている。)
ニュースソース
Sarfaraz K. Niazi(College of Pharmacy, University of Illinois, Chicago):Advice to the US FDA to Allow US Pharmacopeia to Create Biological Product Specifications (BPS) to Remove Side-by-Side Analytical Comparisons of Biosimilars with Reference Products.
Pharmaceutics 2024, 16(8), 1013; https://doi.org/10.3390/pharmaceutics16081013
キーワード
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