【調査レポート】日薬連出荷状況調査5月分と薬価との関係

日薬連の出荷状況に薬価データを突合し、分析を行いました。
データ(パワーポイント)は、以下のリンクからダウンロードして下さい。

①製造販売業者調査:対応状況の推移
概ね4分の1が通常出荷以外で、状況はほぼ変わっていない。

②2023年11月大臣増産要請品目
日薬連ホームページ上公開データで比較可能な2月以降についてみると、通常出荷は約10%~15%で推移しており、他社の影響の限定出荷が概ね50%で推移。

③大臣増産要請品目: 出荷量状況の推移
Aプラス(出荷量増加)は、2月は54%であったが、5月には約40%にまで減少。

④限定出荷の理由
引き続き、「限定出荷(自社の事情)」の理由としては、原材料調達トラブル、製造トラブル・品質トラブル(これらには、製造委託を含む)が多く、これらが引き金となって(いわゆる「もらい事故))、需要増による「限定出荷(他社品の影響)」となっていることが明らかである。

⑤医薬品供給不足の構造
医薬品供給不足の構造を図示したものであるが、「限定出荷(自社の事情)」については、品質・製造トラブルであるにもかかわらず、これらが一向に改善されておらず、一方、「限定出荷(他社品の影響)」についても増産の対応がなされていないことが明らかである。その背景としては、技術的に増産が困難であることと、低薬価が背景にあると推察される。

⑥薬価区分別:企業対応(2023年7月調査)
後発品、内用薬について、薬価区分との関係を検討を行った。この分析については、2023年7月調査データ(国際薬品情報 No.1234. 6-9、2024.9.25に発表)と2024年5月調査データとで比較している。
企業対応(2023年7月調査)では、薬価区分の安いものほど、通常出荷の割合が低く、自社・他社影響のいずれも薬価の安いグループで限定出荷の割合が高い傾向にあり、⑤で示したように、薬価が安いため、品質や製造トラブルの解決を怠っている、増産しない現状が示されている。

⑦薬価区分別:企業対応(2024年5月調査)
2024年4月の薬価改定後、改定前に比べて薬価との関係を示す傾向は薄れているが、薬価区分の安いものほど、通常出荷の割合が低く、供給停止が多い傾向となった。

⑧薬価区分別:問題原因(2023年7月調査)
低薬価グループで、製造・品質トラブルの割合が多い傾向であった。

⑨薬価区分別:問題原因(2024年5月調査)
上記の傾向はやや薄れている。これは、低薬価でも製造・品質トラブルが改善されたというより、不採算再算定などにより区分の変化の影響と考えられる。

⑩薬価区分別:出荷量状況(2023年7月調査)
低薬価グループで出荷量減少、販売中止が多い傾向であった。

⑪薬価区分別:出荷量状況(2024年5月調査)
出荷量状況の分類の変更があったが、低薬価グループほど、出荷量増加が少なく、薬価削除予定が多い傾向であった。

⑫2024年「不採算再算定」品目の出荷状況:2023年12月から2024年5月への変化
不採算再算定を受けた製品について出荷状況の変化を検討した。その結果、薬価改定により出荷量増加したものが134品目、逆に出荷量が減少したものが230品目であった。

 

【パワーポイントファイル】(クリックしてダウンロード)
2024年5月調査と薬価

 

ChatGPTで作ったジェネリック医薬品にかかわる産業相関図

2024年7月3日
このページの先頭へ戻る