米国のヘルスケアオンラインニュースソースのMedCity Newsは「米国医療におけるポリファーマシーを防止する時期は過ぎた(It’s Past Time to Prevent Polypharmacy in U.S. Healthcare)」とする記事で、ポリファーマシーの危険性と、それがアメリカ全体に広がっていることから、薬剤照合プロセスの正確性と効率性を高めることが不可欠であるとしている1)。
医療上の決断を下す際には、臨床医が患者の完全かつ正確な薬歴に不自由なくアクセスできることが極めて重要である一方で、こうした情報へのアクセスは極めて困難であることも問題となっている。ポリファーマシーは、特に高齢者でそのリスクが高く、少なくとも5種類の薬剤を服用している高齢者の数は、1994年から2014年にかけて13.8%から42.4%へと、3倍以上に増加している。ポリファーマシーは、公衆衛生上の大きな懸念事項であるだけでなく、医療費増加の大きな要因にもなっており、毎年1770億ドル以上の追加費用が発生している。ほかにも、入院や死亡のリスクを著しく増大させ、ポリファーマシーが、米国における死亡原因の第5位であり、毎年の全入院患者の約30%を占めていることも判明している。
このようにポリファーマシー対策の重要性が理解されているにもかかわらず、これまでデータアクセスのハードルにより、効率的な服薬調整(medication reconciliation)への取り組みは不十分であった。こうした中、このような課題に対処するため、2018年、コネチカット州議会は「特別法(Special Act)18-6」2)を可決し、Medication Reconciliation and Polypharmacy Workgroupの設置を義務付けた。この後、ワーキンググループは新しい薬物療法管理ツールの開発を行っているこのツールでは、コネチカット州全体の薬物データを保存し、医療提供者がアクセスできるようにすることで、ポリファーマシーの削減と重複排除ができるようになっている。最新の12ヶ月の段階では、州全体で300万人以上の患者の重複処方が大幅に減少し、投薬件数は1億8760万件から2150万件に減少したとされている。
ニュースソース
- MedCity News :It’s Past Time to Prevent Polypharmacy in U.S. Healthcare.
https://medcitynews.com/2024/05/its-past-time-to-prevent-polypharmacy-in-u-s-healthcare/?utm_medium=email&_hsenc=p2ANqtz–vKHJBHz4982oCtZpLF2BGqQTL7iaMSN2LN8wvVCbDlSZXVKfYCURNDxgJty8JdeT7zgw8orMuzcqy2GEOGrxTbkW-3TA7WdsjG-DC97D40BrNTrE&_hsmi=307519617&utm_content=307519617&utm_source=hs_email - Connecticut General Assembly:An Act Requiring The Health Information Technology Officer To Establish A Working Group To Evaluate Issues Concerning Polypharmacy And Medication Reconciliation.(ポリファーマシーと服薬調整に関する問題を評価するワーキンググループを設置するよう、医療情報技術担当官に義務付ける法律)https://cga.ct.gov/asp/cgabillstatus/cgabillstatus.asp?selBillType=Special+Act&which_year=2018&bill_num=6
キーワード
#ポリファーマシー
#コネチカット州