エナジードリンクは翼を与えないか?

Science 誌、2025年6月5日の記事1)。エナジードリングに含まれることが多く、必須アミノ酸とされるタウリンは、多様な疾患のバイオマーカーおよび治療分子として広く研究されてきた。過去の研究でも、タウリン濃度が加齢とともに低下することが示され、補充することで健康寿命の改善が示唆されるとの報告もあるとされる。Scienceに掲載された論文では、マウス、非ヒト霊長類、3つの異なるヒトの大規模コホート研究結果を報告し、タウリン濃度と健康状態の指標との間に明確な関連性は認められなかったとしている。ヒトコホート研究では、タウリン濃度は加齢に伴う性特異的な増加を示したが、タウリン濃度の差は年齢よりも個体間のばらつきが大きく寄与していることが明らかになった。また、タウリンと筋力または体重との関係は、コホート内でもコホート間でも一貫していなかった。論文著者は、低循環タウリン濃度は老化の優れたバイオマーカーとしては機能しそうにないと結論づけている。

この論文に対して、健康・医療の専門ウェブサイトのSTATは、6月5日の記事で、これまでのタウリンの健康や寿命への影響を検討した論文を紹介し、タウリンの推奨について論じている。過去のマウスとサルの研究においてタウリンが寿命への影響を示唆した論文の著者も、タウリンの接種を推奨するものではなく、ランダム化ヒト試験が必要であると発言したとする。別の先行研究でも、タウリンレベルは、ヒトや動物の生涯にわたって上昇しており、タウリンレベルが健康指標と相関していることは明らかではなかったとする。

STATの記事は、タウリン接種については推奨とも非推奨とも述べていないが、Science 誌の論文の結論として言えることは、タウリンが老化のバイオマーカーとしては使えないということか。

 

ニュースソース

  1. Maria Emilia Fernandez(Translational Gerontology Branch, Intramural Research Program, National Institute on Aging, National Institutes of Health, Baltimore), et al. : Is taurine an aging biomarker?
    Science、5 Jun 2025、Vol 388, Issue 6751 DOI: 1126/science.adl2116
  2. STAT+: Taurine, a darling of longevity seekers, is found to be unreliable biomarker for aging. (By Jason Mast, June 5, 2025)
    https://www.statnews.com/2025/06/05/taurine-anti-aging-new-study-questions-efficacy-popular-longevity-supplement/?utm_campaign=morning_ro%E2%80%A6
2025年6月9日
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