2025年5月30日公開、JAMA Network Open記事。世界的に使用している薬剤種類の減少のための介入として「Deprescribing(日本語の定訳はないが「脱処方」が英語の意味に近い)」への取り組みが広がっている。論文は、長期療養施設において、医療従事者による日常的な薬剤レビュー(medication reviews-こちらも世界的に新たな薬剤師業務としての取り組みが広がっている、ただし、日本は別)と臨床的意思決定支援を組み合わせることで、脱処方が進むかどうかを検討した研究論文。
試験開始時にカナダのニューブランズウィック州にある5つの長期介護施設のいずれかに居住し、1種類以上の「潜在的に重要な薬剤(potentially inappropriate medications :PIM)を処方されている高齢者を対象とした。介入は、高齢者における脱処方の個別優先順位が電子的に作成されたレポートをもとに薬剤師による薬剤レビューが実施された。アウトカムとしては、PIMの数について年齢、性別等により調整された値が用いられた。
結果は、合計725名入力者が研究に参加した(年齢中央値[IQR]:84[76-90]歳;478[65.9%]女性)。 薬剤数の中央値(IQR)は10(7~13)、PIM数の中央値(IQR)は3(2~4)であった。対照群では、1つ以上のPIMが処方された人の割合は725人中92人(12.7%)であったのに対し、介入群では621人中226人(36.4%)であった(AOR、1.58;95%CI、1.07-2.34)。脱処方が23.7%増加しており、今後、この環境における薬剤レビューの標準ケアになることを示唆していると結論付けている。
ニュースソース
Emily G. McDonald(Division of General Internal Medicine, Department of Medicine, McGill University Health Centre, Montreal, Quebec, Canada), et al.: Electronic Decision Support for Deprescribing in Older Adults Living in Long-Term Care.
JAMA Netw Open. 2025;8(5):e2512931. doi:10.1001/jamanetworkopen.2025.12931(オープンアクセス)