英国NICE、血友病Bの新しい治療薬の使用を推奨

英国の国立医療技術評価機構 (National Institute for Health and Care Excellence:NICE)は、2025年5月21日、marstacimab (商品名:Hympavzi 、ファイザー製)の12歳以上の重症型血友病Bへの使用を推奨した。Marstacimabは、重症血友病Bに対する初めての皮下注射薬であり、英国で認可を受けてから数週間での推奨判断である。最終ガイダンス案への異議申し立ては6月5日に締め切られ、6月18日に正式発効の予定とされる。したがって、本剤の価格は公表されておらず、商業的取り決め(単純割引患者アクセススキーム)に関する割引額も商業上の秘密として公表されていない。

最終ガイダンス案によれば、英国NHSでは、重症血友病A(抗因子抗体を有さない)に皮下投与のemicizumab(エミシズマブ、日本では中外のヘムライブラ)が使用されている。NICEの委員会は、重症血友病Bに対する皮下注療法がないことを認め、重症血友病AおよびBに対する新たな治療選択肢を歓迎すると結論づけたとする。

一方、企業提出の経済評価は、費用対効果を決定するために「出血なし」、「出血」、「死亡」の健康状態からなるマルコフモデルを開発した。分析は、emicizumabとの比較で、血友病A、Bそれぞれでの分析が行われた。分析結果の詳細は示されていないが、血友病Bについては、血友病Bの患者数が少ないこと、出血に関連した有用性の減少、治療投与に関連した有用性の減少について確実な推定値がないことなどの不確実性はあるが、委員会は、獲得 QALY あたり 20,000~30,000 ポンドの下限に近く、許容可能な範囲内と結論づけたとしている。ただし、血友病Aでは、ICERは獲得QALYあたり100万ポンドを超え、12歳以上の重症血友病Aの治療にルーチンで使用することは、推奨できないと結論づけた。

(坂巻コメント:血友病全体でのヘムライブラの優位性は変わらないか。)

 

ニュースソース

 

2025年5月22日
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