【論文】医薬品の競争力強化のためのEUの規制枠組みの改善

英国Bayes Business SchoolとMerck KGaAによる調査に基づく提言。いわゆるトランプ関税や関連する通商政策、医薬品価格政策が波紋を呼んでいるが、これまでも相対的に欧州への投資の減少とEUの国際市場での競争力を低下させているとし、EU加盟国が製薬会社からより大きな投資を誘致するためには、より緊密な協力関係を築き、「新薬開発のためのより良いインセンティブを提供し、他の国際的な規制当局よりも迅速に医薬品へのアクセスを承認する」必要があると結論付ける。

EUにおける製薬企業の競争力を支える規制の枠組み改善例として以下が示される。

  • 製薬企業の収益と利幅を制限するEUでの低価格
  • 米国と比較して小さいEU市場
  • EU全域で標準化されていない償還制度により、承認後の医薬品アクセスが困難
  • EUでのコスト上昇により、企業が域内で医薬品を生産するインセンティブが低下
  • 資本、リソース、専門知識へのアクセスが不十分
  • 規制上の制限により、欧州での臨床試験が少ない。

また、製薬における競争力強化のための規制エコシステムとして規制のサンドボックス、医薬品・医療機器に関する共同科学的助言、製品情報の電子化、既存の規制制度の簡素化と無制限の製造販売承認regulatory sandboxes, joint scientific advice for drug-devices, electronic product information, and simplifying existing regulatory system and unlimited marketing authorisationなどをあげている。

 

ニュースソース

Pedro Franco(Merck Serono Limited, UK)& Stefan Haefliger(Bayes Business School, UK): Competition of regulatory ecosystems in approving medicines: policy implications in the case of Europe
Drug Discovery Today. Volume 30, Issue 2, February 2025, 104295 https://doi.org/10.1016/j.drudis.2025.104295

2025年5月13日
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