【論文】日本で承認されたモノクローナル抗体のバイオシミラーと参照薬の品質特性

国立医薬品食品衛生研究所(国衛研)による論文。日本で承認されたモノクローナル抗体のバイオシミラーと参照製品との品質属性を評価した研究論文。以下は、論文抄録。

背景: バイオシミラーの使用促進は、医療費削減の観点から世界的な課題である。 日本では、先発バイオ医薬品からバイオシミラーへの置き換えが思うように進んでいない。 バイオシミラーモノクローナル抗体の使用を促進するためには、バイオシミラー製品の品質を評価・確認することにより、バイオシミラーに対する国民の理解を深めることが必要である。 しかし、複数のバイオシミラーやリファレンス、ロット間の比較データは限られている。

目的:この研究では、複数のロットの基準製品とそのバイオシミラーの品質属性を評価し、製品間の品質属性の分布の程度と、ロット間の品質の一貫性を明らかにした。

方法 品質属性として、グリコシル化プロファイル、電荷不均一性、抗原およびFcγ受容体に対する結合親和性、高分子量種および亜可視粒子を測定した。

結果:参照製品との品質属性の類似度はバイオシミラー製品ごとに異なっていた。 過去の論文や総説で報告された参照品とバイオシミラー製品の差異を確認し、バイオシミラーのいくつかの品質属性が参照品の品質範囲から外れていることを確認した。 一部の製品ではロット間のばらつきやある程度の傾向が観察されたが、ロット間の明確なドリフトは観察されなかった。

結論:これらの製品の複数のロットを分析することで、各製品の品質特性のプロファイルを把握することができた。 全体として、参照製品とバイオシミラー間の各品質属性のばらつきの程度が、本研究によって初めて明らかになった。

(坂巻コメント:日本語では先行品というが、本論文ではReference Productsと表記。だったら、日本でも参照製品と言えばいいのに。また、日本でバイオシミラー置き換えが進んでいない背景の一つに、日本の薬事制度で承認されたバイオシミラーの品目ごとに別の一般名をつけるという、日本独自の承認制度がある(簡単に言えば、先行品も含め、それぞれ「似て非なるもの」ということ)。)

 

ニュースソース

Hiroko Shibata(Division of Biological Chemistry and Biologicals, National Institute of Health Sciences), et al. : Characterization of Biosimilar Monoclonal Antibodies and Their Reference Products Approved in Japan to Reveal the Quality Characteristics in Post-approval Phase.
BioDrugs. 2025 May 7. doi: 10.1007/s40259-025-00722-4. Online ahead of print.
PMID: 40332717   DOI: 10.1007/s40259-025-00722-4
(オープンアクセス)https://link.springer.com/article/10.1007/s40259-025-00722-4

2025年5月13日
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