ベルギー国立医療障害保険研究所、欧州のHTAコンソーシアムを主導

2025年1月24日、ベルギーの国立医療障害保険研究所National Institute for Health and Disability Insurance(フランス語では、Institut National d’Assurance Maladie-Invalidité とされ、「INAMI」と略される。オランダ語の略称は「RIZIV」。公表された英文資料では「NIHDI」と表示される)が、欧州加盟国の医療技術評価機関による新たなコンソーシアムを主導すると発表した。このコンソーシアムは、市場に投入される新薬を共同で評価することを目的としている。欧州委員会の資金提供によるこの共同作業は、作業負荷の分担、情報の透明性、およびBeNeLuxAイニシアティブなどの地域間協力の例にならったEU全域での新薬への平等なアクセスを目的としているとされる。

NIHDIは、ベルギーの社会保障の連邦公的機関である。 ベルギー連邦社会問題・公衆衛生大臣の権限の下、健康保険と障害給付金の強制的な国家制度を管理し、医療事故の補償基金を管理する責任を負う(Wikipedia)。また、BeNeLuxA(Beneluxa Initiative on Pharmaceutical Policy)とは、ベルギー、オランダ、ルクセンブルク、オーストリア、アイルランドの保健サービスが参加するイニシアチブで、ベルギーとオランダによって2015年4月に設立された(Wikipedia)。

以下は、NIHDIプレスリリースの抄訳。

医薬品のより良い評価に向けて各国が協力

EUで新薬が市場認可された後、その医薬品の医療/治療上の価値(または価値の欠如)を明らかにするために、医療技術評価(HTA)が実施される。その結果の報告書に基づいて、償還または調達のプロセスが決定される。これまでこの評価は、まったく同じデータを使用しながらも、各加盟国が個別に実施していた。

2025年1月より、欧州の新たな法的・手続き的枠組みが施行され、加盟国が共同でHTAを実施することとなった。これにより、各加盟国は大幅な資源効率化を実現できる。さらに、これらの共同HTA報告書は、価格交渉など、その後のさらなる連携を可能にする。NIHDIは、欧州委員会からこの共同作業の実施を任されたコンソーシアムを主導する。

この規則により、EUは医薬品に関する世界初の「ワンストップショップ」を創設した。これにより、業界は当初の27件から1件の申請を行うだけで済むようになる。この法律により手続きが簡素化されることで、欧州市場の魅力が高まり、特に小規模な加盟国の患者に恩恵をもたらすことになる。

EUにおけるHTAの指揮者としてのNIHDI

NIHDIは、EU加盟国19カ国を代表する34のHTA機関のコンソーシアムにおける調整役を担い、加盟国HTA調整グループおよび欧州委員会と協力しながらHTA規則を実施していくことになる。この重要な立ち上げ段階において、NIHDIは、すべての評価が適切に行われ、作業量が分担され、EU規則が遵守されるよう、このプロセスを主導していくことになる。これらの評価の結果報告は、EU加盟国27カ国すべてが利用することができる。

「ベルギーとNIHDIは、医薬品分野に限らず、保健政策に関しては欧州および国際的な協力において指導的な役割を果たしてきた伝統がある。 BeNeLuxAやCritical Medicines Allianceといった過去のイニシアティブを考えてみてほしい。 今回もまた、欧州諸国のコンソーシアムにおいて重要な役割を果たし、効果的かつ効率的なHTA規制の実施を保証できることを嬉しく思う。

 

ニュースソース

National Institute for Health and Disability Insurance:Belgium’s NIHDI takes a leadership role in assessment

of novel medicines in Europe.
https://www.inami.fgov.be/SiteCollectionDocuments/PressRelease_NIHDI_MedicationAnalysesEU.pdf

2025年1月28日
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