欧州医薬品庁(European Medicines Agency:EMA)は、医療技術評価に関する欧州連合(European Union:EU)の新規則の発効を発表した。EUにおいて中央承認医薬品centrally authorised medicinal productsは、最初にEMAによる規制評価を経て患者での使用が承認され、次にEU加盟各国の医療技術評価(health technology assessment:HTA)機関によって評価され、各国が新医療技術の使用、価格、償還レベルについて、医療システムの持続可能性への影響を考慮して決定を下して後、患者が利用できるようになる。
この規則は、各国がタイムリーで十分な情報に基づいた決定を下せるように支援するものである。具体的には、以下の3分野で支援する。
- HTA調整グループによる、共同臨床評価(joint clinical assessments:JCA)の適時な実施の支援。 このためにEMAは自らの規制評価から関連情報を提供する。
- 並行共同科学協議(parallel joint scientific consultations:JSC)においてHTA調整グループと協力し、技術開発者に科学的助言を与え、規制当局とHTA機関の双方のニーズを満たすエビデンスの生成を促進する.
- 計画立案とホライズンスキャンニングhorizon scanningの両方の目的で、今後の申請と将来の医療技術に関する情報交換を行う。
新規則は当初、がん治療用の新規活性物質とすべての先進治療薬(advanced therapy medicinal products:ATMP)に適用される。 2028年1月には希少疾病用医薬品orphan medicinal productsに拡大され、2030年からはすべての中央認可医薬品に拡大される。 2026年からは、一部の高リスク医療機器もHTAの下で評価されることになる。
EMAは現在、HTA調整グループ(HTA Coordination Group:HTACG)の事務局を務める欧州委員会に通知する法的義務を負っており、JCAの適用範囲に含まれる医薬品の製造販売承認申請の提出を受けた際には、手続きが遵守され、共同作業が適時かつ透明性の高い方法で行われることを保証している。 2024年6月以降、同庁はそのような申請の特定を開始している。EMAはまた、進行中の規制当局による評価から情報を提供する法的義務を負っている。 情報交換の詳細は、EMAの医薬品委員会およびJCAサブグループとともに策定される。 特定の医薬品に関するHTA評価とベネフィット・リスク評価は、それぞれの権限の範囲内で、それぞれの法的枠組みに従って、引き続き独立して実施される。2025年2月から、HTACGによりJSCの要請期間が開始される。
ニュースソース
European Medicines Agency:New EU rules for health technology assessments become effective.
https://www.ema.europa.eu/en/news/new-eu-rules-health-technology-assessments-become-effective